では、今回のエレベーターピットの防水工事の流れを、順を追って説明していきます。
まずは、エレベーターピットに溜まっている水を、エレベーターの業者様に依頼し排水してもらいました。
水の浸入経路となっているエレベーターピット内の破損箇所を、止水セメント材で修繕します。
大きな割れが見られた隅部のほか、細かなクラックが多いエレベーターを稼働させる金属部の周辺などを、止水処理しました。
止水処理が完了した、エレベーターピット内の様子です。
防水層の密着性を高めるための、プライマー材を塗布しました。
エレベーターピット用の防水材の1層目を、丁寧に塗布していきます。
ちなみに、以前の業者さんが使われていたのは、ベランダ用の一般的な防水材と見られました。
エレベーターピットという、多湿で色んな方向から水の圧力がかかる環境には特化していないため、徹底的に漏水を止めることができなかったようです。
エレベーターピット用防水材の、2層目を塗布していきます。
家庭用のエレベーターピットは、オフィスビルなどのピットと違い、狭く入り組んでいる構造のことが多いため、作業は結構大変です。
ピット内で作業する人のほか、上に人がいて、材料を渡すなどのサポートに徹し、円滑に作業できるよう工夫しました。
最後に、仕上げ材を塗布しました。
隅々まで綺麗に塗布して、1回目の防水工事は完了です。
上記の通り、しっかりと防水工事は行われましたが、やはり漏水しやすいエレベーターピットだったようで、しばらく経て「また漏水しはじめました……!」と連絡をいただきました。
わずかなクラックが新たに発生したことが原因かと考えられます。
再工事の日程を調整させていただき、2回目の工事でも1回目の工事と同じ流れを踏んで、再び水をしっかり止めました。
またしばらく様子を見てもらったところ、「完全に漏水が止まりました!」とご連絡をいただいたので、今度こそ防水工事は完了となりました。
エレベーターピットの構造や劣化状況、建物の立地によっては、今回の住宅のように、なかなか漏水が止まらないことが珍しくありません。
例えば、坂道の下側にある建物は、上から水が下りてきて溜まりやすいため、1回の防水工事では解決できないことがあります。
しかし、1回目の防水工事では止まらなくても、再度丁寧に防水工事を行えば、難しい条件の漏水であっても、止水できます。
止水セメント材で水漏れをしっかり止めてから防水材の塗布に入ること、エレベーターピット専用の防水材をちゃんと使うことなどが、止水成功のポイントです。