まずクラック補修を行ってから、表面を整えて、塗り替え工事を行います。
梅田の繁華街からほど近く、通行人や車が多いので、常に周囲に気を配りながら作業を行いました。
クラック補修は、エポキシ樹脂の低圧注入処理という工法で行います。
この工法は簡単に説明すると、エポキシ樹脂を専用の注射器でゆっくり圧力をかけてクラック内部に注入する工事です。
そうすることで、クラックの表面を埋めるだけではなく、ひび割れの内部まで樹脂をしみわたらせて補修後の強度を高めることができます。
まずは下準備として、クラック全体をシーリングして塞ぐ作業を行います。
樹脂を注入する前に、クラック表面ふさいでおかないと、せっかく注入した樹脂が溢れてしまうからです。
剥離シールという専用のシーリング剤をくまなく塗布し、樹脂を注入する位置には専用注射器用の座金を取り付けました。
座金は2〜30cmに1つくらいの間隔で取り付けました。
座金にエポキシ樹脂を充填した注射器を取り付け、1日かけて浸透させます。
翌日、注射器とシーリングを撤去しました。
次に下地処理を行います。
クラック表面ガタつきを平坦にし、補修するほどでもなかった細かなひび割れの拡大を防ぐためには、厚みと強度のある素材で重ね塗りしておくことが望ましいからです。
カチオンフィラーという下地材である程度表面を平坦にして細かいクラック消していきます。
厚みを出すために、翌日もう一層塗りました。
固まった表面を研磨します。
コテで塗ったあとのザラザラな質感やスジなどが残ると塗装に影響が出るので、サンダーという機械を使って表面をより平坦にしていきました。
研磨後にもう一度カチオンフィラーを塗ります。
表面がなめらかになるように、1,2回目に比べて柔らかく練ったものを使い、丁寧に整えながら塗っていきました。
最後の塗装を行います。
お客様のご希望の紺色の水性シリコン塗料を用意し、目地には白色を用意しました。
塗装下地となるシーラー材を塗布しました。
シーラー材を塗布することで、塗料の定着がよくなり、塗りムラや施工後の劣化を防ぐことができます。
先に目地に塗料を塗ります。
刷毛を使って、液だまりしないように丁寧に作業を行いました。
紺色の塗料を塗る前に、白い目地が汚れないようにテープで養生を行います。
塀全体に塗料をローラーで塗っていきます。
ムラができないよう均一に上から順に塗っていきました。
表面にザラザラ感を出すために吹き付け仕上げを行いました。
もともとつや消しタイプの塗料ですが、この工程を入れることで色に深みが出るので、塀だけでなく外壁塗装でもよく使われる工法です。
最後に目地の養生を剥がして作業は完了です。
お客様は「キレイになりましたね!」とお喜びでした。
また、後から聞いたところによると、繁華街が近いせいか酔っ払った人などに壁を汚されることもあったそうで、「このままの状態を保てるといいですね。キレイになったら汚す人も少なくなると思うので少し安心です。」とおっしゃっていました。
塀のクラックを放置すると崩落などの危険があるほか、この事例のように色褪せたままにしておくと「古くなってるし汚してもいいや」という気持ちを誘発してしまう可能性もあります。
ですので、塀が劣化してきたときはできるだけ早めに補修を行われることがおすすめです。