工事の工程を紹介します。
EVピット内には排水口がないので、溜まった水を除去します。
水が大量の場合はポンプで吸い上げる必要がありますが、3cm程度だったので、雑巾やスポンジを使って手作業でバケツに水を集めました。
あらかた水を取った後は、ヒートガンと呼ばれる溶接などに使う熱風が出る機材で、ピットの壁を乾燥させました。
表面が濡れていると工事がしにくいからです。
このとき、乾燥させてもすぐ濡れてくるところは漏水の原因となっていると考えられますので、注意深く観察しながら作業を行いました。
このEVピットでは床の隅部分と、EV機材の土台付近からの漏水が疑われましたので、床面全体に止水セメント処理を行いました。
止水セメントは、セメントに似た質感でありながら水を通さない特殊な素材で、このように防水性が求められる現場での補修工事に使われます。
固まるまで1日おいておきます。(写真は翌日)
防水材を塗布するEVピット内前面にプライマー材を塗りました。
プライマー材を塗っておくことで、防水材の接着がよくなり耐久性を高められます。
ピット内に専用の防水材を塗布します。
屋上や外壁に使う防水は、表面からの浸水を防ぐのみですが、この防水材は裏側、つまり壁の内側から滲み出てくる水も防ぐことができます。
厚みをつけ、強度を高めるため2度塗りしました。
最後に表面を保護するトップコート材を塗布して作業は完了です。
工事にあたり、オーナー様は開始時に立会われて、終了後は写真でご確認いただきました。
その後、毎月の点検で水が溜まらなくなったとご報告いただきました。
この事例のように、弊社ではEVピット内の防水工事にお困りのお客様から、しばしばご依頼をいただきます。
というのも、エレベーターのこととはいえ、エレベーター会社さんは防水補修までサポートできるところが少なく、紹介もなかなかないという事情があるようです。
ただ、エレベーターは安全性が重視される場所なので、自分で補修しようとはせず、できるだけ早めに専門業者に工事を依頼されることがおすすめです。