今回の工事の内容を紹介します。
ベランダの泥汚れなどを一旦きれいに掃除します。
工事ではボンドでシートを貼りつけるので汚れが残っていると接着が悪くなるからです。
まずはベランダのなかで一番低い位置にある排水口周りのシート貼りを行ないました。
排水口内部のドレーンもしっかりしていたので、改修ドレーンなどは入れずそのままで工事を行います。
排水口の周りに沿ってシートを使用することにして、シートを排水溝の形に合わせて丸くカット専用のボンドで貼り付けました。
防水用の塩ビシートを貼り付けるにあたって、まず床面に塩ビ用のボンドを塗布します。
凹凸のできるヘラで均等に塗りつけました。
床面だけではなく、塩ビシートそのものにも同じようにボンドを塗布しました。
ボンドを塗った面同士を貼り合わせます。
上からローラーで力をかけ、浮きがないように密着させました。
壁の根元の立ち上げ部分にも同様にシートを貼り付けます。
ここまでの工程で、古いシートに新しいシートを貼り付ける広い部分は、ボンドを使用しましたが、新しいシート同士が折り重なり、刷毛が入りにくいスミや角は熱風で溶かして接着する「溶着」という工法でシートを貼り付けます。
立ち上がりの角の部分は、コーナーパッチと呼ばれる専用の立体的なシートを溶着で貼り付けます。
コーナーパッチは角の形に合わせて複数の種類を使用しました。
コーナーパッチの周囲を塩ビ製ののシール材でシーリングし、段差や隙間を埋めました。
シートの端の立ち上がり部分は補修のしやすい変性シリコンでシーリングを行いました。
工事を終えM様は「希望通り塩ビできれいにしてもらえてよかったです」とお喜びでした。
この事例のように、一般的な耐用年数がきても劣化が少ない防水の場合、やり替えるのはもったいないと思われる方は少なくないですよね。
とはいえ、内部で破損があったり、素人では見つけられない欠陥が存在することもありますので、少なくとも15〜20年に一度はプロに点検を依頼し、適切な処置を行うことが大切です。
余談ですが、塩ビシートの重ね貼りは2層までが限界と言われています。2回目以降の補修では、既存のシートを捲って再び塩ビシートを貼るか、別の防水をすることになります。
今回の工事に関して、「どうせ捲らなければならないなら今でもいいのでは…?」と思われるかもしれませんが、まとめて捲る方が安くつきますので、劣化が少ない場合の1度目の補修は重ね工法がおすすめなのです。