今回の工事の工程を紹介します。工事前は、シート防水を剥がした後に下地調整をするだけで下準備は完了予定でした。
しかし実際は、既存防水の下に古い塗膜防水の層が何重にも残っており、劣化が激しかったので撤去してから工事を行いました。
ボロボロになっていた既存ゴムシート防水を剥がします。
取っ掛かりのない部分はカッターで切り込みを入れて、手でめくっていきます。防水はかなり痛んでいたので軽い力で剥がすことができました。
先述の通り、シート防水の下には塗膜防水が残っていました。
いろんな種類の防水が何層にも重なっており、劣化して水を含んだ部分も多く、こういった場合に、そのまま重ねて新規の防水を行うと耐久性が下がってしまいます。
まずは、既存防水を剥がせるだけ剥がしてから、下地調整(次工程)を行うことになりました。
はがれにくいところもありましたが、カッターとスクレーパーで根気よく捲っていきました。
ゴムシートだけの撤去なら半日かからないところ、下の防水層捲りの工程を入れると2日ほどかかりました。
既存防水の成分が残る下地を絶縁し、表面を平坦にするために下地処理を行います。
絶縁とは、既存防水の成分や汚れなどが新しい防水に影響しないようにすることで、今回のように、過去に様々な防水を行っていた場合は、しっかりと行う必要があります。
水性エポキシカチオンフィラー下地調整材という、通常よりも機能性の高い下地調整材を使用しました。
凹凸が大きいので固めに調合して、コテで根気よく塗りつけて下地処理を行いました。
もともと平坦な場所の場合はやわらかめの液で、ローラーを使って塗布することもあります。
次に下地の隅部や取り合い部分のシール処理を行いました。
今後、防水が痛んで内部に水が入った際に、わずかな隙間があるだけで建物の構造内に容易に水が回り、雨漏りを引き起こす可能性があります。
柵の架台周辺や、立ち上がりの隅部、金物との取り合い部分など、隙間ができやすい部分に、シーリング処理を行いました。
シーリング材はウレタン製のものを使用しています。
防水内部の湿気を逃がすための脱気筒を取り付けます。
できるだけ排水口から離れた場所2か所を選び設置しました。
排水口に改修ドレーンという、補修用部材を取り付けます。
排水口内部は、直接目で見ることができませんが、雨が降ると確実に水が集まる部分ですので、劣化や破損で雨漏り原因になりやすい部分です。
念のため内部をカバーできるホース付きの改修ドレーンを設置しました。
メッシュクロス貼りながら、ウレタン防水材を塗布していきます。
液状の防水材を塗布するだけでなく、中にメッシュクロスを組み込ませることで、厚みと強度を出すことができ、耐久性が高まります。
さらに厚みを出すために2層目のウレタン防水材を塗布します。
最後に表面を保護するためのトップコート材を塗布して作業は終了です。
後日、雨漏り状況を確認するためご連絡したところ、Y様は「雨漏りが止まってよかった」とお喜びでした。
この現場では、シート防水の下にさらに古い塗膜防水層があったので、撤去してから工事を行いました。
古い防水層は、劣化して水が含まれていていると、防水層の膨れの原因になったり、建物内部からの劣化を招いたりします
今回に限らず、防水やり替えを行う際は、できるだけ既存防水はを取り除いてから行うことがおすすめです。